メモ帳

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IT業界と金融の融合

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ブロックチェーンを使いコストを劇的に削減


フィンテックと言う言葉がメディアを賑わせています。
フィンテックとは『Finance(金融)』と『Technology(技術)』を融合した造語で、テクノロジーを使ってこれまでに実現し得なかった新しい金融サービスを登場させると言うムーブメントの事です。
ブロックチェーンによりフィンテックが劇的に発展すると言われています。

ブロックチェーンがもたらす具体的なもとのしては、金融の業務コストの削減やまったく新しい金融サービスの開発などが挙げられています。
米コンサルティングファームのオリバーワイマンは『ブロックチェーンのような分散台帳技術を活用する事で、金融機関の業務コストを2020年までに150億ドル以上削減できる』と試算しています。
その身近な例として、ブロックチェーンの先駆け者ビットコインを使った決算が挙げられます。

クレジットカード決済を利用している小売店では、約2~8%の手数料をクレジットカード会社に支払っています。
しかしビットコインでの決済を導入する事で、手数料をさらに削減できます。

また、小売店への入金と言う点でも大きなメリットがあります。
クレジットカードの場合、売り上げが小売店に入金されるまで約1ヵ月ほどかかりますが、ビットコイン決済であれば早ければ当日中には売り上げが入金され、運転資金を速やかに確保できます。
これらはほんの一例ですが、ブロックチェーンを遣えばそう遠くない将来に金融のコストを劇的に削減する事が可能になるかも知れません。

 

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フィンテックをさらに高めるブロックチェーン


ブロックチェーンを使ったフィンテックに特に視線を送っているのが株や債券などの証券業界です。
株式や債券の取引にブロックチェーン技術を導入する事で、さまざまな新しい試みが実現する可能性があります。

具体的には株式や債券をブロックチェーン上のコインという形で配布し、『スマートコントラクト』と呼ばれるコンピューターのプログラム形式の契約と結びつけると
株式の配当の支払いなどを自動で行って、投資家のウォレットに自動的に入金されるようにできます。
また、株式分割やIPOなどの手続きも自動で行えるなど、投資家側は利便性の向上、証券会社側は大幅なコスト削減と、双方にとってのメリットが期待されています。

2015年10月、ナスダックはブロックチェーン技術を基盤とした未公開株取引システム『Nasdaq Linq』の運用を開始しました。
株式管理の強化のほか、権利の移動やトレードにおけるミスや不正などのリスクを軽減し、より安全で確実な株式の取引を目指す事が可能となります。

また、先物取引やオプション取引といった金融商品の派生取引(デリバティブ取引)などの複雑な取引に、スマートコントラクトの応用が検討されています。
スマートコントラクトを応用する事により、顧客の証拠金管理などのデリバティブ取引特有の複雑な業務がより円滑になり、コスト削減につながる事が期待されています。

 

ブロックチェーンによる制度の変革


現在世界の人口は約73億人いますが、その約3分の1にあたる約24億人が、銀行口座を持てない人たちと言われています。
これまでに彼らは銀行を介した送金や口座への貯金が出来ませんでしたが、ビットコインはそれらの利用を可能にする救世主になりえるかもしれません。
つまり、銀行口座を持っていなくてもお金と言う価値をダイレクトに送金できm価値の貯蔵もウォレットで行えるのです。
これを受け『将来的に銀行はいらなくなるのではないか?』と言う話も聞くようになりました。

しかし当の銀行もブロックチェーンに着目し、自分達の生き残りを賭けています。
みずほ銀行は、富士通、富士通研究所と2016年3月に国境を越えて証券を取引する【証券クロスボーダー取引】にブロックチェーン技術を適用する事で証券取引の決済にかかる時間を短縮する実証実験を行ったと発表しました。


また、海外でも研究開発が進んでいます。
アメリカのフィンテックを扱うベンチャー企業R3CEVが率いるコンソーシアムには日本のメガバンク3行のほか、野村やSBIホールディングス、トヨタファイナンシャルサービスなどが参加しています。
R3CEVha、金融機関での利用を想定したブロックチェーンの開発を行っています。

ブロックチェーンは、従来の金融システムのアンチテーゼとして生まれましたが現在では銀行がその技術に注目し、研究開発に躍起になっています。

 

 

 

広がりはダイヤモンドからIoTまで


金融業界からの熱い注目を集めるブロックチェーンですが、実は金融業界以外からも注目を集めています。
例えばイギリスのエバーレッジャーはブロックチェーンをダイヤモンドの闇取引対策に応用しています。
ハイパーレッジャープロジェクトのブロックチェーンを用いてダイヤモンドの流れを鉱山から消費者まで追跡し、認定書や取引の履歴の記録などに役立てています。
同社ではトレーサビリティ性(追跡可能性)の向上を図り、購入者が安心して購入できるというこの仕組みを、ワインボトルへと対象を広げ応用しています。

また、ラズーズというプロジェクトは、ブロックチェーンを使ってライドシェアサービスのUberの様なシェアリングサービスの構築を目指すものです。
このサービスの実現はまだまだ先と言う声もありますが、仮に実現すれば中央に管理者を設けないまったく新しい形のシェアリングエコノミーが生まれる事になります。

その他のIoT分野への応用も試みられています。
IoT(Internet of Things)とは、さmざまな機器をインターネットで接続すると言う考え方で『物のインターネット』と呼ばれており、上記の2例も含まれます。
ここにブロックチェーンを用いてシステムを運用しようと言う考えです。

例えば、冷蔵庫の中身を自動で認識しいつも買っている食材が切れていた場合、冷蔵庫が自らスーパーに食材を注文し、自動で決済まで済ましてしまう事が可能になるかもしれません。

 

国家や会社の仕組みを変える?


ビットコインは中央銀行へのアンチテーゼから生まれたと言われています。
日本にいると実感しませんが、世界には自国の通貨が強くない国はたくさん存在します。
例えば、ジンバブエでは100兆ジンバブエドル札が発行されるほどのハイパーインフレに見舞われました。
他にもアルゼンチンではデフォルトが繰り返され、中国人民元も決して信頼されているとは言えず資本流出は深刻です。

通貨の信用=国の信用と言う常識の外にあるビットコインが台頭したことによって、今後はブロックチェーンを用いた新しい仕組みが通貨のあり方そのものをひっくり返す可能性があります。

また、ブロックチェーンは組織の在り方も一変させてしまうかもしれません。
ブロックチェーンを応用した重要な技術として『スマートコントラクト』があります。
スマートコントラクトとは、デジタルに表現された資産をあらかじめ定められた条件に従って自動的に移転させる仕組みです。

例えば、仮想通貨を受け取る際にこの同意があれば執行すると言う条件を付け、それをクリアすれば自動的に実行されるようなプログラムを記述するなど、より複雑な条件を付ける事も可能です。
これによって、人間が介在しなくても、プログラムに則り様々な契約を自動的に執行する事ができます。
これを価値の移転にとどまらず、組織や会社などの運営にも応用していこうと言う動きもあります。

将来的には、組織や会社を人間が管理するのではなく、人間がプログラムのエージェントとして働く組織となる時代が来るのかもしれません。